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過去記事の絵にお話を付けていただきました

mp3用2008/11/26の記事「強制変身による操りです」の絵にコメディチックなテイストのお話をEnneさんから頂きました。

エイミーさんってそう言う位置づけにされやすいのだろうか…
私自身としても弄りやすいキャラではありますけど(笑)
挿絵は過去絵から加工したりしております。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

およそ、1年あまり前、SSBの本部でひとりの女性が悲鳴を上げた


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


SSBの夜は早い

奇妙な言い方になるのだが
夜にまぎれて『悪事』を行うのが『悪の組織』というもの

しかし
エイミーなどは、研究や指揮に臨んでいる時間を別にすれば
朝8時過ぎにはラボに出て
寝起きの悪い官子を蹴り上げながら前日の成果をチェックしていて

9時過ぎには彼女の配下がもたらす情報の分析
作戦立案指令などの一般業務を彼女の執務室で行っていたりする

そして
『残業』、いや、そもそもヒトを強制的にやめさせられていたりするものたちで
構成されている組織ゆえ8時間労働が義務付けられているわけもなく
神彌弥配下の『派遣秘書』チームに至っては、
『派遣』先の表の業績を裏から操って向上させてやるために、30日間寝ていないとか
「去年は寝てなかったのじゃないかしら」などというツワモノまでいるとかいないとか

しかしエイミーはといえば
夕方4時にはもう、部下を下がらせると
官子ひとりを伴って執務室に「不在」の札を掛け
エイミーの公式執務時間は終了とこうなる

なので作戦が動いていない期間も
なめし皮のような特殊素材の布切れだけで過ごしている
エイミー専属一般戦闘員にとってさえ 
「エイミー様は、干渉してこない、話しのわかる上司」らしい


だが、エイミーの活動が終わるわけ、では当然なく
その後はラボにこもって
早朝からこき使われて目を閉じそうになっている官子をやはり蹴り起こしながら
趣味の研究に時間を費やす

したがって
エイミーに指示を仰ぎたければ
8時~4時の間のどこかで彼女を捕らえなければとこうなるわけだ

けれど
彼女が執務を早々に切り上げるのは、戦闘員の自由時間を作るためなどではやはりなく
当然べつの理由がある

それは
SSB総統

「彼」、いや彼なのかどうなのか
実は彼女かも
はたまた、そもそもヒトや改造人間ですらなく
はるか宇宙の深遠や、異世界からの訪問者であるやも知れないが

エイミーの前では
切れるような美貌と、かすかな翳(かげ)り
そして、独特のカリスマを感じさせる威厳を兼ね備えた壮年男性の姿で現れるのだが

この総統が、おおむね夕方6時以降から8時までの、たそがれ時から夜の入り口
この時間にしか総統謁見室に姿を見せないから

この貴重な時間を
エイミーが逃したくないと思っているからだ

何といっても、実態があるのか、ないのかすらわからない総統のこと

たとい幹部であっても『いるよ』とふざけたような在室札が謁見室に
掛けられる日はなかなか明らかでなく

総統に、いつの日だったか直に身体に触れられた日
エイミーの頤(おとがい)に指を掛けられ、魂の底の底まで
あの魅惑的で力強い瞳に覗き込まれたその日のことを忘れられない彼女としては

作戦成果が上がった日には、たそがれ時の時間には謁見室の扉の前に佇むことになる


だから、だから、だから
この宵も
デジタルプレイヤーに似せたエイミー開発の特殊デバイスで、普通の女性を簡易戦闘員に仕立て上げ
世間を混乱に落し込むという
『リキッド・データ・プレイヤー作戦』
通称
『リキドラプレイヤー作戦』で、
テストの場所に選択した、とある都市が大混乱に陥ったという第一報を4時直前に受け取ると
謁見室の前に駆けつけずにはいられなった

まるで恋する乙女のような思いで見つめた謁見室の扉
そこには

「いるよ」と書かれた札が
そう、あの札が、掛けられている!

ノックをしなくてはという
そんな日常のことさえ蒸発させたエイミーの脳髄は
ほとんど身体ごと扉に飛び込むようにしてそこを抜けると
謁見室の毛足の長い絨毯にブーツのピンヒールを取られそうになりながら
総統が座す玉座の下にまろびでると跪き、おずおずと視線をあげる

だが・・・あげられた眼が見たものは
総統になにやら耳打ちする神彌弥、そしてその耳打ちを愉快そうに聞き入る総統の姿

今、跪くということは、まるで神彌弥にまで跪くのも同然では?
苛立ち、怒り、そして神彌弥に対する整理のつかない感情がエイミーの内側を炙る
だが、少なくとも総統の御前で、そんな幼稚な感情を爆発させるほど
エイミーは子供ではない、いや子供ではないと、ただ一人の方には見えてほしい

だから、そう、だから
彼女の内側の波立ちをすべての意志力で抑え込むと
エイミーは総統の御前に拝跪した

「エイミーどうした?」
掛けられた声音からも総統の上機嫌さが伝わってくる

「はっ、実は『リキドラプレイヤー作戦』が・・・」

「うむ、いま神彌弥から聞いたぞ、大成功だったようだな?」

「!?」

何故、自分の作戦の成功を神彌弥などが総統に・・・
だが、だが、だが
自分は大人、ここでそんな些事に拘泥しては
総統閣下の心象が・・・

きりり、一度だけ歯を食いしばると
エイミーは、今一度拝跪する

「エイミー今回の作戦、見事であった いや、新技術の開発、さすがだな」

掛けられた声音の温かさ、そして深み

脳が痺れてしまいそう

洗脳などこの方の前では不要、無用

この声を聞かされて跪かぬ者、このお声に従わぬ者など、世界から消え去ればいい

そう思えることすらこの身に受けた洗脳の結果であるなら
これはもうこの身に下された福音も同じこと

「は、ありがとうございます」

かろうじて、そう、かろうじてそう言えた

強化を受けていなければ、もうこの胸の高まりだけで
この場で絶命してしまいそう

「うむうむ、エイミーでなくてはな、さぞ苦労したであろう?」

「ははっ、そもそも今回の作戦のために開発したのは、
 ナノテクノロジーによる、自己完結型増殖素材に始まって・・・」

滔々と、いかに革新的な技術開発を行ったか
 また、この作戦によって、全世界の混乱を容易になしえるかを語るエイミー

「・・・・・プレイヤー型のデヴァイスから流れ出るのは愚民どものいう
 リキッドなミュージックなどではなく
 リキッドな戦闘衣装、
プレイヤー状のデヴァイスから流れ出て
 被験者の衣服を覆う形で衣服に同化し、瞬時に戦闘衣装に置き換えていくため
 リキッド(液体)が、身体を覆っていくように見えることでしょう
 結果として被験者は素肌を戦闘衣装に覆われて同時に意志を喪失し、
 SSBの指令にのみ従う、いわば人形になり果てます 
 その意味でリキドラプレイヤーと名付けた次第です」

エイミーの長広舌を、にこやかに聞き入っていた総統だったが
やがて飛び切りの笑顔を作ると
もう我慢できないとでも言う風に、一言声を掛ける

「ところで、な、エイミー」

「あ、はい」

「簡易戦闘員というだけあって、素材にした娘たちは倒されたり、行動不能になったりすると
例のプレイヤーも一切合財、証拠は消去されるようになっていたらしいな?」

「はっ、仰るとおりです、あんな高度なテクノロジーを愚民どもに知らせるわけには・・・」


「うむうむ」

頷きながら、総統の顔はほとんど爆笑をこらえ切れない、そういった風情

「エイミー、ほんとうに、く、くくくっ、あは、わはははは、いやぁ面白かった」

「・・・はぁ?」

「わは、あはははっは」

「・・・・・・」

「あ、いや、すまぬエイミー、他意は、他意はない、余は本心から、今回の作戦を愛でている
 いや、エイミー、そなたもようやくSSBになじんでくれた様子、嬉しいぞ、では、な
 またあおう」

ふぁさり

翻るマント

消え去った神々しい気配

とり残される、神彌弥とエイミー

もう、我慢などできるはずもなくエイミーは
まだ玉座の背にそっと手を当ててその座の主の温もりを確かめてでもいるかのような
神彌弥に荒げた声をぶつける

「神彌弥、説明なさいよ!
 いったい何を告げ口したわけ!!」

「あら、わたしは作戦の成果をご報告したまでよ、総統もお喜びだったでしょう?
 あなたもお褒めを頂いたわけだし」

鈴を振るような声、というのがあれば、神彌弥の声がまさにそれだろう
それに噛みつく自分の声がこんなにもこんなにも自分自身ををいらだたせるというのに

「おかしい、おかしいじゃないっ
 わたしの作戦は、世界を混乱の巷に陥れるための・・・」

「ええ、ええ、大混乱だわよ? こわいわよねぇ、電力不足は」

「そうだろう、突然普通の娘が・・・う、ん?なんていったの神彌弥」

「だから、電力不足のせいで、巷は大混乱、うん、ネットで動画とかも上がっているわ」

「一体何の話をしているの、神彌弥
 簡易戦闘員には電力網の破壊などは命令してないはず」

「ええ、そうね、電力不足でおこったのはストリップショウだもの」

「す、すとりっぷぅ?」

話が、話しが見えない、なにを、一体何を神彌弥は言っている?

強化されているはずの耳はいまなんという言葉を聞きとった?

「エイミー、あなたの技術はすごかった、でもね? 電源は?」

「え、あ、そ、それはとても市販の電池ではおぼつかないから、新開発の超小型充電池を」

「うんうん、それで、きっと変身には、ナノマシンの励起?すっごい電力が要るわよねぇ?」

「それは問題ないっ、すべて、初期にフル充電して・・・・」

「ええ、それで変身できた、と」

「も、もちろんだ・・・」

「で、活動を開始して・・・そうねぇおよそ3分だったらしいわよ?」

「あ、ぐっ、ま、さ、か?」

「いやぁ、街中大混乱、さすがエイミーだわね
 総統閣下もご満悦・・・」

そこまで言うと神彌弥はエイミーの傍らに寄り添って彼女の肩にぽんと手をおろす

「エイミー、これであなたも、くすっ、うちの人間よ?」

「・・・・・・・いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


そして、あの黒い思い出からもう一年あまり

「こんどこそっ、こんどこそよっ官子!」

「え~と、この間は、タブレットから触手が飛び出す”Kinbaku”でしたっけ?」

「あんなでかいもの誰も買わないわっ、タダだって持って帰ってくれなかったじゃない
 今はやっぱりダウンサイジングなのよっ!これよ、これ、これがモックアップ」

「え~と、スマートフォンですかぁ?」

「そうよっ、これが次世代型簡易戦闘員製造デヴァイス『i-DoPhone』だっ!」

「いどうふぉーん ですか?エイミーさまぁ?」

「ちがうわっ! アイ・ドゥ・フォーンすなわち意志を委ねさせるデヴァイスっ
、あるいは、くふふっ愛奴フォーンといったところかしらねぇ」

「なんだか1年ほど前に似たような・・・」

「何か言った?」

「いえいえいえ~」

「ふんっいいわ、官子っ!ここが正念場よ今回の作戦にはこの技術の完成が不可欠、
 電波に電流を乗せて搬送するシステム、これがないとまた・・・」

いいさして、口ごもるエイミー

『やっぱり気にしてたんだ・・・』

が、良くも悪くもポジティブなのがエイミーである

「さ、、官子っ資金が足りないわ、調達してらっしゃいっ」

「はぁい、エイミー様~」

官子の請け合いにそれ以上の関心を払わないのはいつものこと

「あのぉ、もしもし、あ、絵夢さん、はい、そうなんです
 はいぃ、あと50億ほどかかるみたいで、はい、あ、助かりますぅ
神彌弥さまにもよろしくお伝えください、あ、はいはい、今度お茶でも~」

などと官子が連絡を取っているなどとは知るはずもない

そして・・・

とある宵

『いるよ』と書かれた札がエイミーを迎える



エイミーを待つのは

総統の心からのおほめの言葉か

電波受信トラブルでまたもや起こるストリップショウか


それはともかく、ここは悪の殿堂

悪は愉しげに蠢くのだった

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ストリップしてしまったとはなんともですねぇ。
普通の組織ならお叱りを受けるのでしょうけど、S・S・Bの首領様はこういう状況を楽しんでしまうんですね。
エイミー様にとっていいんだか悪いんだか。(笑)
楽しいSSでした。
ありがとうございました。

『いるよ』と書かれた札
吹いた、コーヒ吹いてしまいました。
ツボにストライクです。
てか、コーヒで画面見えないです。
息苦しいです。最高の笑いをありがとう~。

色々と小ネタが多くて楽しめましたが、自分は特にここがスゴイと思いました
>そう思えることすらこの身に受けた洗脳の結果であるなら
>これはもうこの身に下された福音も同じこと
洗脳の神髄ですね。なかなか書けない一節かと思います。

本文の通りで、一年あまりどころか2年近く前につくったネタにたくさんの閲覧ありがとうございました。
もともとは昨年の正月ごろにg-thanさん舞方さんとメッセしながら書いた(まさに書いた)ものです。
そのままでだしてしまうとさすがに時事ネタとして古く
後半では某スマートフォンの電波障害ネタをと思いましたが、(ネーミング関係と、リキドラでお分かりの通り、ネーミングには林田双丘さんのご協力をいただきました)これまた長くするとギャグにならないと気付きましたので、今の体裁になりました。
そんなお話?なので新規の書き起しはいりませんとg-thanさんにお願いをしていたのですが、却ってお手間の作業をさせてしまった気がします、この場を貸して頂いたg-thanさん、ご協力いただいた皆様ありがとうございます。
そしてローマ陥落さん、コーヒーを申し訳ないです(w
maledictさん洗脳されたいスキーの部分を取り上げて頂きましてどうもです。

遅ればせながら感想を m(_ _)m
エイミー様本人が真面目にやればやるほど
あらぬ方向に事態が進んでいくという……
なんとも面白すぎます(^◇^;

芹沢さん、まさに狙い通りのところで楽しんで頂けたようで幸いです。
わたしエイミーさん好きなんですけどねぇ、どうしてこういう三の線で書いちゃうのか(w
とはいえ、うん、悪は生真面目な方の努力に支えられているのです(w

舞方雅人 様>最近まるで発表していない本編と違い、このお話でのキャラはそれぞれ生き生きしていますよね。
頑張らねば。
ローマ陥落 様>ツボってこういうところを指すのでしょうねえ。私もこういうセンスは好きです。
maledict 様>客観的に自分自身を見てるというところでしょうか。こういう表現はまさに文章ならでは。
Enne 様>時は経つのは早いもの。少しの間休んでると思っていたお話が早数年経ち・・・という笑うに笑えない状況。
焦ると余計にドツボなので、マイペースが一番と思う今日この頃です。
芹沢軍鶏 様>必死になればなるほど、すべりまくる芸人の如し・・・
プロフィール

g-than

Author:g-than

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